中国国内の危うい雰囲気
すごく簡単…日本を中国の言いなりにさせる3つの方法―中国メディア
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0923&f=politics_0923_007.shtml
ネットでの論説というのは極端なものになりやすいのだが、一方で全体を覆う雰囲気というものを伝えるのも確かだ。
前述の記事では、
- 製品輸入の規制
- 資源輸出の規制
- 石油の買い占め
という三つの方法で領土交渉に勝利するという趣旨であったが、すべて誤りであることを書いてみたい。
1.日中貿易では日本の輸入超過が続いている
日中貿易額の推移
日本が中国から輸入している大部分は工業製品だ。仮に、両国が互いに工業製品の輸入を止めたとすると、中国の方に多大な損失がでることになる。その分を国内需要でカバーできるのなら問題ないが、そうでなけれ過剰生産によって現在の好景気も一瞬で吹き飛んでしまう。
2.日本のレアアースの備蓄は十分であり、もしも中国からのレアアースがなくなったとしても米国などから輸入できる
「レアアースため込む日本、中国に輸出制限緩和を要求」: 化学業界の話題
中国からのレアアースの輸入が多かったのは相対的に価格が安かったからであり、そこでしか手に入らないといったたぐいのものでは無い。それになにか勘違いをしている人が多いようだが、レアアースはある製品では製造の過程で必須のものであるがほとんどの場合、“大量に”必要なわけでは無い。
3.投機筋による石油の暴騰をまねく
http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-102088.php
石油相場は低迷している。なので一見すると買いやすそうだが、もし中国が買い占めに乗り出したという噂が流れたならば、世界中の投機筋が買いに走るだろう。ただでさえ資金需要が少なく通貨がだぶついている現況で、石油相場がどんな修羅場になるか考えたくもない。また中国発の石油高というのは各国ともに受け入れられるものではないし、そもそも石油輸入国である中国自身が手ひどいダメージを被るだろう。
素人でもこれくらいの判断がつくのだから、両国政府は妄言に動揺することなく、冷静かつ平和を保つための努力をして欲しい。
最後にこのブログを見ている人のほとんどは日本人だと思うので。
4.日米安保は機能している
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100924ddm001010071000c.html
防衛・経済などでの日米両国の結びつきは、日中・米中とは比較にならないほど強固かつ抜き差しならないほどに、深く広い。
そして今回の領土問題も大きな目で見ると、米中の海上覇権をめぐる代理戦争の一つともいえるだろう。
大陸に進出できる場所が無くなった中国は、海洋から利益を得たいと考えているだろうし最近、南沙諸島を巡ってインドネシアと双方が武装船を出すような騒動があった。
そして本物の海洋覇権国となるためには、自国近海の東シナ海をまず自分のテリトリーとして確立しなければならない。そして、ゆくゆくは台湾を併合して本格的に太平洋・オセアニア方面に影響力を及ぼすという“戦略”*1を実現するために、尖閣諸島での問題が起きたのだろう。
一方、東シナ海を中国以外の国が通れないようにするということは、米国の利益とは真っ向から対立するものであり、そのため今回のクリントン国務長官による“北方領土”とは比べものにならないくらい素早く、強力なメッセージにつながったと思われる。
米国にとって沖縄と台湾の間は安全な自分達の海でなければならない。
この断固とした方針を読み違えることがないことを、中国には切に願う。
- 2010/09/25 追記:船長の釈放のニュースを聞いて以下に
日本が尖閣諸島をどうしたいのか、そしてそのためになにをしてゆくか、議論を始めよう - chakin の日々
*1:思いつきや衝動でないことを切に祈る